今から13-4年前になるでしょうか。
京都のコンサートホール(小ホール)まで、ひとりで彼女のピアノを聴きに行きました。
コンサートはショパン、リストなどの名曲を中心に、組み立てられていました。
1階席でしたが、彼女が弾くリストの「ため息」を聴いて、私は涙が止まらなかったことを覚えています。
その旋律は、空気を伝わり波動となり、私の体に押し寄せてきました。
「魂のピアニスト」とも呼ばれる彼女のことを、中にはあまり評価しない人もいるようですが
この時の経験から、私は今まで行ったコンサートの中で、彼女は「無類に最高」と称えております。
芸術家を名乗る人、また呼ばれる人はたくさんいます。
しかし、芸術というものは全て、技術のうまさが問われるのではなく
いかに、どれほど人を感動させられるか、その人の意思を伝えられるか
その意思は、その人の人生から導き出されたものであるか が最も重要なのだと思うからです。
私の座席の周囲では、「ラ・カンパネラ」に比べると、同じ旋律が長く繰り返されるので
それこそため息が聞こえる感じがして、涙を拭いている自分を少し恥ずかしくも思いました。
しかし、涙はとめどなく流れ、平静になろうとすればするほど流れて止みませんでした。
当時、私には困難な状況があり、それを切り開くために忍耐を余儀なくされておりました。
そして、今よりたぶん、繊細でありましたでしょう。
帰りにホール内で、彼女の絵を買いました。
勿論、原画ではありませんけれども…
我が家の玄関には、その絵が飾ってあります。
その後、絵本や画集なども買いました。
フジコ・ヘミングさん
人生の終わり近くまで現役で在られたことを称賛し、心よりご冥福をお祈りいたします。
のら猫 ダンゴ君
私にとって大切なことは、心に届くピアノを弾くことと絵を描くこと、
それに弱い動物たちに愛情を注ぐこと。
人も動物も、どんなものより、心が通じ合う愛情が大切ね。
(青い薔薇の夢=フジコヘミングより)
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